泉・根の国

髙山 瑞|TAKAYAMA Midori

2019

小砂石で出来た石蔵の中に、かつて土葬の際に使用した仏具が入っていた。それらは役目を終え、あまりにじっと静かにそこに居たので、使用される道具ではなく別の何かに変容しているように思われた。
石蔵に点在するものたちは幾星霜を経て現在ここに居る木々たちである。生まれ成長し、身を切られ、削られ、割れながら、少しずつ形を変えて今ここに辿り着いている。
形の表面に現れる年輪の複雑な紋様は、樹の生きた記録・痕跡であり、それは手彫りであるこの蔵の壁にも僅かに現れている。
あらゆる物に、場所に、そして人にも、今もなおそれぞれに時間は流れていることを感じさせてくれるものたちである。

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