新しい再生 森とダンボール

[ワークショップ講師]ダンボール造形作家 玉田多紀
[実施日]2015年3月24日(火)〜27日(金)
[場所]馬頭西小学校 音楽室
[参加者]延べ32名(4日間合計)

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馬頭西小学校は、全校生徒50名ほどの小さな小学校。
その音楽室に村人の協力で無数のダンボールが運びこまれた。
これから4日間この音楽室が、ダンボール造形作家玉田多紀が講師をつとめるダンボールワークショップの会場になるのだ。
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会場には馬頭西小学校の生徒を見守るように不思議な生き物たちも応援に駆けつけた。
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ダンボールをなめす

玉田のダンボールワークショップは、まずダンボールを《なめす》工程からはじまる。固い梱包用ダンボールを手でなんべんも揉むとしだいに固さがとれ、有機的な造形も可能な新しい素材として生まれ変わる。次の行程は《かわ作り》、なめしたダンボールを水にひたし3枚に分離する。はがれたダンボールはたしかに動物の革のようにも見える。桶に水を張ってダンボールを剥がす作業に子供たちも夢中のようだ。
tamada_2「ナメシとカワください!」

初日は黙々と制作していた子供たちだが、次第にダンボール造形の専門用語が飛び交うようになり、教室が賑やかになってきた。ダンボールをボンドで貼るだけの実に単純な作業の積み重ねが大きな形へと繋がっていく、その興奮をみんなが実感している。なんとか完成させたい気持ちから、自然と一体感が生まれ、3日目には天井まで届く巨大なキノコが姿をあらわした。
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キノコは森に

みなで力を合わせて完成したキノコは、手入れが行き届いた小砂の森に佇むニレケヤキのそばに設置することになった。玉田は初めて小砂を訪れたときから、この場所だと決めていたのだという。軽トラックの荷台にキノコを載せ現地まで運ぶと、うしろから子供たちが自転車に乗ってかけつけてきた。
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穴を掘り、キノコを埋め、携わった人たちの名前が入った札を傍らに立て、作品が完成した。天気のよい日は鏡張りになった池がキノコをとりこみ、不思議な里山の風景が生まれる。制作に携わった子どもたちは、よく家族や友人を連れてこの場所を訪れているようだ。
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ワークショップを終えて

ダンボールなのに外に展示して大丈夫なの?お決まりの疑問にニヤリ。朽ちる作品を再生と呼ぶのに何年かかるかはまだわかりませんが、まず一年間の変化を観察する場所として小砂に出会ったことは幸運でした。

小学1年生から中学2年生の子供達9名が数日間通しで完成まで終始関わり制作しました。皆兄弟のように面倒見がよく自然と仕事分担が出来る、これは少人数の小学校で培われたのもだと感じました。

ダンボール造形は場所を選ばず誰とでも制作できるという融通性があり、大勢でモニュメントを作るには適したアートワークですが、計画も悩みも準備も掃除も制作に関わる全てを共有できる小人数ならではのワークショップは初めてでした。どこにでもあるダンボールだからこそ、その土地でその人々と寝食を共にしながら制作することこそが、本当の共同制作なのだと実感しました。
滞在中の民泊では現地で制作する楽しみと風土に触れる重要性を感じました。

2mの巨大作品を計画的に制作できたのは、子供達のやり遂げようとする気持ちの強さとそれを見守る寛容な大人たちの素早い対応力に支えられたからです。
私の新たな試みに賛同していただき全面的に協力していただいた小砂の皆様、環境芸術祭の皆様に心から感謝します。

ダンボール造形作家 玉田多紀
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クリエータープロフィール